4月に読んだ本は18冊でした。 『木挽町のあだ討ち』 『化学の授業をはじめます』 『歌われなかった海賊へ』 『ムラブリ』 が良かったです。 毎週の学習記録の下の方に「その週に読んだ本」も追加するようにしたので、以下はその投稿記事からの抜粋まとめ。 一番下にふりかえりがあります。
木挽町のあだ討ち [ 永井 紗耶子 ] 冒頭で「そんな簡単に首切れへんやろ」と思っていたので、ラストは「さもありなん」。 でも、こういうリレー形式というかカルテットみたいな重声音的な物語、大好物なので読んでいて楽しかった。 それぞれの関係者を訪ね歩き、ある事件について訊いていく、そして同時に語り手の人生を知る。 「仇」討ちが「あだ」と表記されているところがポイント。
極楽征夷大将軍 [ 垣根 涼介 ] 超絶ブラコン物語。 徳川家康的な話かとおもったら足利尊氏だった。 前半の室町幕府建立までのターンは面白くてワクワクしながら読んだけど、後半はつまんなくて飛ばし読み。読みながら何度も睡魔に襲われた…。 2段組で余白も狭く、552pあるのでかなり読み通すのは大変。 後半を読みながら「これ読んでるならもうほかの本読みたい」ってなってた。
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…12 (一迅社文庫アイリス) [ 山口 悟 ] 出ていたのに気づいて読んだ。 ジオルド王子に新たな婚約者候補?それはなんと、魔法学園の後輩・フレイで…。 毎回「誘拐→乗り込む」方式だなあ。 しかもその見せ場が後半にあるのにさらっとしていて、前半の職場描写が長かった。 同一場面複数視点描写はなくなったので、物語としてはだいぶスッキリ読みやすくなった。
化学の授業をはじめます。 [ ボニー・ガルマス ] 面白かった! 1960年代アメリカ、男女差別により化学者として認められていないエリザベス。 ひょんなことから彼女は、お料理番組に出演することになって…。 思ったことはすべて率直に口に出す彼女の発言は、物議を醸す。 しかし番組を通じてテレビの前の女性たちに語りかけるエリザベスに、女性たちは魅了されていく。 あなたのしている仕事ーーー料理には、家事には、価値がある。 たとえそれが誰にも顧みられなくても。 あなたには何でも出来る。
自分になにができるかできないか、他人に決めさせない。
四角四面で猪突猛進な超絶KY主人公に既視感があって、誰だろう…?と思っていた。 『義母と娘のブルース』の亜希子さん?『成瀬は天下を取りにいく』の成瀬? 私はこういう森羅万象なぎ倒し系の主人公が好き。 内容としては『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』も思い出した。 周囲の登場人物も魅力的で(犬好きにもおすすめ)、「そことそこがくっつくんだ!?」とか、最後の「あの人がそうだったんだ?!」という物語の展開の面白さもあって、エンタメ小説でありながら勇気づけられて元気が出るお話。エリザベスが番組の最終回で述べる締めの言葉もかっこいい! この本は著者のデビュー作で、AppleTV+で「レッスンinケミストリー」としてドラマ化されているそう。
歌われなかった海賊へ [ 逢坂 冬馬 ] タイトルから、勝手に海賊モノ(アドリア海の海賊的な)と思っていたら、違いました。 舞台は、1944年ドイツ。 反ナチ・反体制を標榜し、「エーデルヴァイス海賊団」を名乗る少年少女たちの物語。 街に敷かれた鉄道。しかしその先には何があるのか? 彼らは線路をたどり、そこで目にする。うっすらと「そうではないか」と思っていたそれ。 強制収容所。 少年少女たちは、連合軍の不発弾を使い、線路の爆破を計画する。 そして彼らはーーー。 『歌われなかった海賊へ 歌わなかった住民より』 現代、ドイツ。 自宅の庭に立て札を置き、鉄条網を巡らせる老人。その言葉の、意味。 皆は、見ないふりをした。駅で止まった貨物列車の中から腕が生えてきても。 知らなかったのだと、自己を正当化するために。 2020.08.31「147.ベルリンは晴れているか [ 深緑野分 ]」 2020.09.08「155.戦争の歌がきこえる [ 佐藤由美子 ]」 を思い出した。 集団記憶。そして、上書きしたのっぺりとした「戦争」の記憶が共有され、引き継がれる。 目をそらし続けて、忘れたふりをして。 今だってそうだろう、とふと思う。 知らなかったのだ、出来ることはなかったのだと、歌わないまま。
街とその不確かな壁 [ 村上 春樹 ] 村上春樹、6年ぶりの最新長編。672pと分厚い。 内容はいかにもな既視感のあるワードと設定の村上春樹ワールド。 私は正直、初期短編が一番好きなので、最近はもう惰性で追っている感じなのだけど、それでも「長編1200枚」を最後まで読ませる筆力はすごいなと思う。
ふつつかな悪女ではございますが6 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~ (一迅社ノベルス) [ 中村 颯希 ] 中華風ライトノベル第6段。 次代の皇后の座を巡って争う雛女(ひめ)たちが自らの足で立ち上がった今回。 大団円!かと思いきやのラストでまた続きが気になる。 私は一貫して慧月さまが好きです。不器用で、ひねくれていて。
ジブン手帳公式ガイドブック2024 [ 佐久間 英彰 ] 一度も買ったことがないのに毎回読んでます…。 デコしてあるより、黒一色で文字がびっしり書いてある実用的な手帳を眺めるのが好き。 しかし私は去年鉛筆一色で手帳を書いていて、今年4色+シャーペンにしたら視認性が高まり快適です…。 (赤…プライベートの予定、青…仕事の予定、緑…自分だけの希望など、黒…終わったことの記録、シャーペン…仮の予定。未完了の繰越は黄色のマーカーでなぞる)
人生が劇的に変わる「瞬読式」時間術 忙しさから解放され、本当にやりたいことに集中する (単行本) [ 山中 恵美子 ] 速読本かと思ったら時間の使い方についての本でした。 書いてあることはいろんな時間術の本に書いてあるのと同じなのだけど、読み返すたびに「そうだよなあ」と思うから私もたいがい進歩しない。
ガチ速FIRE 知識ゼロ貯金ゼロからたった5年でセミリタイアする最強の株投資・資産形成 [ 森口 亮 ] 特に目新しいことは書いてなかった。 住居費のリセールバリューを考えるとかは他のひとあんまり言ってないような。 しかしこういう人が「おすすめの銘柄」を紹介したらそれだけで株価あがりそうだ。 私は今37歳で、「40で仕事辞められたらな〜」と思ったけどおよそ現実的ではないので、とりあえず下の息子が義務教育を終えるまで(あと9年)と考えて、であれば高校卒業(あと12年)でちょうど50になるのでそこで辞めようと思う。 そのために頑張って資産形成しつつ、「別のこと」にチャレンジできる保険としての自分のスキルを磨こう。 夫にもこういった本を読ませて洗脳しているのだが、夫は「いつでも辞めれるっていう状態になって仕事し続けたいかな〜。それで60で早期退職する」と言っています。 夫に「50で辞めたら、一番給料いい時やからもったいないで」と言われて心揺れる。 もうひとつの選択肢として、降格して細々ゆるゆる働く、というのもアリなのかもしれず。
ズボラな僕でもお金が貯まるようになりますか? [ 富雄美智 ] 前から思っていたのですが、すべてのものにBLをかけ合わせたら新しいジャンルとして読者を獲得できるのでは? 英会話✕BL、資産形成✕BL、簿記検定✕BLみたいな。 これは、資産形成について浪費家のワンコ系後輩が、お金に詳しい出来る先輩に訊いていくという会話形式で進む。ブロマンス風味だけどBLではない。イラストはBL作家さん。 内容はがっつり金融の内容で、知らなかった情報(コア&サテライト戦略)もあって、良い本でした。 私としてはもっとこうがっつりBLに寄せていって、なおかつストーリー性も取り入れていくのがいいと思うんですよね…(本の中身頭に入ってこーへんわ)。 「二次創作したくなる実用書」。よくない?
世界のニュースを日本人は何も知らない5 - なんでもありの時代に暴れまわる人々 - (ワニブックスPLUS新書) [ 谷本 真由美 ] 「へー」と思いながら読む薄い本。 「ガザ地区を足立区に置き換えてみると」のたとえはかえってわかりにくかった。 AIが大量の二酸化炭素を排出するというのは意識していなかったなあ。
受験生は謎解きに向かない (創元推理文庫) [ ホリー・ジャクソン ] 『自由研究には向かない殺人』の前日譚。 ヒップがなぜ殺人事件を自由研究に選んだのか。 友人宅で行われた殺人解決ゲーム。 こういう、「自分が犯人かどうかわからない」状態で情報を次々に開示されて、役割を演じながら推理するのって楽しそう。
エッセイストのように生きる [ 松浦弥太郎 ] 「今日もていねいに」 というこの方の文末の結びの言葉に違和感と反発を覚えていたのだけれど、本の中でご自身が「ていねいとは感謝すること」と書かれていて納得した。 エッセイストのように生きるーーー目を開いて世界を見る。ちいさな秘密をささやく。
「どんな人間になりたいか」を問いつづける
子供に「将来何になりたい?」と訊かれて、大人になった自分は「何になりたいのか」と思う。 それは「何になりたくて」「何になれなかったのか」でもある。 痛みをともないやわらかな部分が反応する。 好きだったこと。手放したこと。 飛んでいく風船のように眺めた日。 糸の切れ端を未練がましく手に握りしめたまま。 そして今また、「どんな人間になりたいか」という終わりのない問いを己に向けたなら。 なんと答える?
収納上手のインテリア 押入れ [ 成美堂出版編集部 ] 我が家にはクローゼットなんて洒落たものはなく、オール押入れ。 私は押入れラブなので、人の押し入れを眺めるとうっとりする。 この本は一冊丸ごとひたすら押し入れが紹介されていて眼福。 私は、衣装ケースや棚やハンガーがびっしり詰め込まれて、「収納は全部ここです!」というタイプの押し入れが好きです。
本好きの下剋上第五部「女神の化身Ⅻ」(5-12) [ 香月美夜 ] 本編最終巻でした! いやもう砂吐き砂糖エンド。 一冊まるごとフェルディナンド様の吹っ切れたデレにやられました。
「私にとっては全ての女神がマインだが?」
これはエーレンフェスト後世に語り継がれる恋物語ですね…っ!! このあと番外編で婚約式のフェルディナンド様の熱烈な誓いのお言葉も暴露されるようで楽しみです。 現代日本からの書痴から転生、下町での紙がない暮らし、からの長い長〜い旅路を経て、ついに図書館都市の領主に! まさに「本好きの下剋上」でした。おつかれさまでした!
ムラブリ 文字も暦も持たない狩猟採集民から言語学者が教わったこと [ 伊藤 雄馬 ] 2023.04.22 084.語学の天才まで1億光年 [ 高野秀行 ] にたしか「ムラブリ」の話が出てきたと思って、その方の本も読みたいなと思っていた。 著者は1986年生まれで同い年。 なんというか、この人の「もっと違う生き方、やり方、暮らし方があるのではないか?」という焦燥感みたいなもの、分かるなあと思って読んでいた。 私が好きな本の傾向もそれで、ジャンルやテーマは違っても通底する根源的な「問い」が同じだと感じている。 森の中に住む狩猟民族、ムラブリ。 彼らの挨拶に「こんにちは」といったものがなく、「ご飯食べた?」「どこ行くの?」がその代わりとなっているという話、インドネシアにいたときを思い出した。 毎回「Dari mana?(どこ行くの?)」と訊かれて、都度「〇〇に△△しに行くんだよ」と答えていたんだけど、ある時みんなそんなに真面目に答えていないことに気付いた。 この場合の正解は「Jalan-jalan(ちょっとそこまで散歩だよ)」だったのだ。 ムラブリの言語の「時制」もインドネシア語と似ていると感じた(インドネシア語には時制がなく、sudah(もう)をつけると過去になる)。 で、まあなんでそんな超マイナー少数言語を勉強するねんな?と何百回も著者は訊かれる。 ムラブリ語を研究することを通じて、ムラブリの身体性を身に着けてきた著者は、考える。 給与明細のこの金額はなに?お金はこれだけ必要?自分が生きるのに必要なものは? 自分ひとりでは何も出来ず、生きることを外注したまま、自分は生きていくのだろうか? 著者は言う。
「あなたを含む世界のために、ムラブリ語をやってきたんです」と答えることができる。「ぼくがその成果です」
違う言葉を通して見える、違う世界。 AI翻訳はそこに身体性を伴わない。
成瀬は信じた道をいく [ 宮島 未奈 ] 2023.10.15 229.成瀬は天下を取りにいく [ 宮島未奈 ] の続編(本屋大賞受賞おめでとうございました!)。 前作読み終えて思わず滋賀県民に「これめっちゃおもろいから読んで」と連絡したくらいなので、続編も楽しみにしていた。 安定の成瀬。成瀬のその後が知りたいと思っていたから嬉しい。
「先のことはわからないからなんとも言えないが……。何になるかより、何をやるかのほうが大事だと思っている」
でも前作のときの「なるせー!!」というインパクトはある意味成瀬に慣れてしまってなかった。 お話もきれいにまとまってしまって、なんか青山美智子さんの短編みたいになっちゃったな…(別にそれが悪いわけじゃないんだけど、読みやすいんだけど)という感じがした。 成瀬視点がひとつくらい入っていたら良かったのにな〜。 新キャラもたくさん登場して、この後も続けられそうなくらい膨らませているんだけど、こればっかりシリーズ化するのはやめて、ほかの作品をぜひ書いてほしい。
本屋大賞2024の結果が出ましたね! ■読了○未読で分けてみると、 ■大賞『成瀬は天下を取りにいく』 ○2位『水車小屋のネネ』 ○3位『存在のすべてを』 ○4位『スピノザの診察室』 ○5位『レーエンデ国物語』 ■6位『黄色い家』 ■7位『リカバリー・カバヒコ』 ■8位『星を編む』 ○9位『放課後ミステリクラブ1金魚の泳ぐプール事件』 ○10位『君が手にするはずだった黄金について』 4/10冊しか読んでいませんでした。 これでは本好きを名乗れませんな!笑 昨年度はノミネートの時点で「全部読むぞ」と息巻いていましたが、今年はそんなに食指も動かず。 でも、ノミネート作はぼちぼち読んでいきたいなあと思っています。新しい作家さんに出会う良い機会ですしね。 翻訳部門は、 ○1位『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』 ■2位『卒業生には向かない真実』 ○3位『不便なコンビニ』 韓国作品強いなあ。これも未読のものは読んでおきたい。 超発掘本の『プラスティック』も気になるので読もうと思う。 本屋大賞受賞にともない、いろんなところで作者の宮島未奈さんがインタビューされていたりで、作品がなぜ生まれたのかということをお話されていて嬉しかったです。 そして2024年から、「本屋大賞 ノンフィクション本大賞」がなくなったのは残念。 ノンフィクション本こそ、「作家買い」があまりないから、「へえ、こんな本があるんだ」とこの受賞で知れたのにな。
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